八重山の旅8 「島の手仕事 アンツク」 [八重山]
沖縄県八重山にある竹富島で船を待つ間に、綺麗なかごを見つけました。
一体どんなふうに作られたのだろうと、とても気になりました。何かわかるのではないかと、港近くにある「ゆがふ館」にいってみました。
島の資料が展示してある部屋の近くで縄をなっている女の人がいました。ここを訪れた人達に植物の皮から繊維をとり、撚りをかけた糸をつくっていく工程を見せながら、島の紹介をしていると、話してくれました。40~50㎝位の植物の繊維を両手で撚りあわせ、繋ぎ目がわからないように、とても速く次々と美しい糸状になっていく手の動きは、素晴らしいものでした。「私よりももっと綺麗に出来る人がいる。アンツクというかごも綺麗だから。」という話を聞いて、島の名人を訪ねることにしました。
※アンツク:八重山に古くから伝わる民具。農具などを入れて持ち歩いた網かご。
民宿「松竹荘」の松竹昇助さんは、良い季節を選んで麻を刈り、表皮をはいで乾燥させて細い糸状にし、収穫した季節ごとに麻を束にしてありました。麻の表皮を残した茶色いもの、表皮をとった白いもの、長さや太さを揃えて、糸にする前の状態から丁寧な下準備をしていました。
麻は丈夫だからというので、昇助さんが丹精込めてつくった麻のアンツクを1つ買いました。撚りをかけた麻の糸を何本かずつ組み合わせ、かごの底になる部分をつくります。、底の部分が出来上がると、今度は4つの側面に、長い糸を模様になるように編んでいきます。縦糸、横糸を色も含めてデザインしながらつくります。一目も間違えず、がっしりとした大きな手で、とても繊細な仕事をされていることに感動しました。
昇助さんが、自分用につくった新デザインのかごをみせてもらいました。糸の組み方だけでも十分工夫しているのに、表皮を残した茶色の糸と表皮を取り除いた白い糸との配色も組み入れて、とても美しいかごでした。
細い植物の皮の繊維だったものが、手間をかけて機能美を備えた一品になったいく工程を間近でみることができたことは、この夏一番の宝物になりました。
投稿者:ゆんたく
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