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バンシロウ物語 その4 グァバゼリー販売 [美味しい一品]

豊年祭当日、朝から気温はぐんぐん上がり、日差しも強くなってきました。民宿のおばちゃんと従業員、孫娘達は、海岸へ行って準備に取りかかります。かき氷、ジュース、ビール、あまがし(冷たい豆汁)、グァバゼリーと、商品の種類は申し分なし。手伝いの孫達は手際も良く、次々に準備していきます。DNAの偉大さに改めて気づかされるような動きに、これが小学生かと驚くばかりでした。
グァバゼリーも綺麗な薄桃色に仕上がり、いくつか見本に並べ、後はクーラーの中で出番を待っててもらいます。商売というのは、売り手になると、売れて初めて合格点を貰った気持ちになります。買ってくれた人が、何やら神様のように見えてくるのです。夏の暑い日差しの中、まず快調な滑り出しで売れ始めたのは、かき氷でした。次々人がやって来て、瞬く間に氷がなくなっていきます。グァバゼリーは、1つ100円。かき氷ほどのスピードではないのですが、それでも少しずつ売れ出しました。おばちゃんも知り合いの人にグァバゼリーを説明してくれました。島の人達にとって、グァバは、ジュースの方が馴染み深いようです。買って、その場で食べてくれる人の「美味しいねえ」の一言は、やはり一番嬉しいです。新発売のゼリーもまあまあの売れ行きでした。
数日後、おばちゃんは「新しい黒島の商品として、このゼリーを売ろうと思う」と話してくれました。これまでおばちゃんは、アーサの佃煮、香辛料のピィーバチ、薬草のたっぷり入った健康茶など、自然の物を利用して、島の特産品を次々と考え出してきました。婦人会へ持っていって皆に試食してもらい、上手くいけば新商品として売り出せるかも知れない。おばちゃんは、商売にかけては天才的なアイデアを持ち、それを実行してしまう。かつて70歳を過ぎて、商売のための銀行ローンが組めなくなったと、嘆いていたおばちゃんの力は、今も計り知れないものです。商売で得たお金を、おばちゃんは恵まれない子供達の学資として送っていました。里親になって、何人もの子供達のお母さん役をずっとしてきたこともありました。島の恵みは、おばちゃんの手を経て、別の恵みに変わっていったのです。

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投稿者:ゆんたく


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